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夫婦別居後の子との交流

 夫婦が離婚、もしくは、その前段階の別居状態となると、子は一方の親と離れて暮らすことになります。(子と離れて暮らすことになる親を、ここでは「別居親」と呼び、子と同居している親を「同居親」と呼びます。)
 子にとって、両親の葛藤にさらされたうえ、両親のどちらか一方と会えなくなってしまうことは悲しいことであり、別居親の立場からしても、それまで一緒に暮らしていた子と会えないことはとても辛いことです。

 同居親にとって、離婚や別居後においても子を別居親に会わせなければならないことは、確かに大きなストレスですが、DV事案等、子を別居親と会わせることが子の福祉に反すると認められる場合を除き、子が別居親と交流する機会をできるだけ確保するのが望ましいと一般的に考えられています。

 

 調停において、子の会わせたくない同居親と子に会いたい別居親の間でなかなか合意がまとまらず、結果的に子と別居親が長期間交流出来ない状態におかれることが少なくありません。このような事態が生じることは、別居時における熾烈な子の奪い合いの一因ともなっていますので、子の福祉の観点からも、子と別居親との交流は、DV事案等問題あるケースを除き、別居後できるだけ早い時期に実施されることが望ましいと考えます。

 

 また、現在は、共働きの両親に代わって祖父母が実質的に子の監護を担っているというご家庭が少なくなく、子にとって両親以上に祖父母との愛着関係が形成されているというケースが珍しくありません。祖父母は、自身の意思と関係なく、父母の離婚等によって子(孫)と引き離されてしまうことがありますが、子(孫)との交流を請求する手立てがないのが現状です。
 令和3年3月29日の最高裁判例では、事実上子の監護に携わってきた祖父母(子の母の両親)が、子の母の死亡後、子の父を相手方として、子との面会交流について定める審判を申し立てた事案において、父母以外の第三者が子との面会交流に関する事項を定めるよう申し立てることができる旨を定めた規定はないとされ、祖父母の申立は不適法として却下されています。

 

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 令和6年5月24日に公布された「民法等の一部を改正する法律」(施行日は公布の日から2年以内の政令で定める日)においては、上記の問題点について改善される方向に改正が行われていますので、その中身をお伝えいたします。
 
 まず、父母の離婚や別居によって子が別居親と長期間交流できないという状態を回避するため、家事事件手続法に、審判前の親子交流の試行的実施の規定が新たに設けられました。この規定は離婚等の調停にも準用されていますので、離婚調停等において、親子交流の時期や方法について話し合いがなかなかまとまらない場合などに、別居親と子とが試行的に交流することを家庭裁判所が促すことができるようになります。(もっとも、子と別居親との交流が子の福祉に反する場合もありますので、「子の心身の状態に照らして相当でないと認められる事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるとき」との要件が付されています。)

 

 次に、限定的ではありますが、父母以外の親族(祖父母等)と子との交流の実施について調停や審判で定めることができること、及び、父母以外の親族も申立権者となり得ること、がそれぞれ明文化されました。改正法施行後は、祖父母にも(「他に適当な方法がないときに限る」との要件がありますが)申立権が認められるようになります。これによって、祖父母と子との交流のあり方についても検討が進むと思われます。

 

 最後に、用語の問題ですが、今回の改正によって、民法766条1項中、「子との面会及びその他の交流」の文言から、「面会及びその他の」が削除され、「子との交流」と規定されることになります。これによって、これまでの「面会交流」から「親子交流」などに呼び方が変わることが予測されます。

 

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 私ごとですが、今年3月に初孫が産まれ、祖母の立場となりました。少々距離のあるところに住んでいますので、子の監護に携わることはあまりなさそうですが、祖母の気持ちを実感しつつ、実務に生かしていきたいと思います。

弁護士 大池

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