「不貞慰謝料」
「不貞慰謝料」
慰謝料とは、肉体的または精神的な苦痛を慰謝する趣旨で支払われるお金です。
配偶者の一方が不貞行為をした場合、他方の配偶者は、不貞慰謝料を請求することができるのが通常です。
もっとも、裁判において、夫婦関係が破綻していたと認められた場合は、不貞慰謝料の請求は認められません。
破綻した夫婦の場合、不貞行為をされても精神的な苦痛はないはずだと考えれば、納得できますね。
それ故、不貞慰謝料の裁判においては、夫婦関係が破綻していたかどうかが一つの大きな争点なります。
しかし、夫婦関係の本当のことは当事者しかわかりません。
他人にはわからないことです。
裁判官も神様ではないので、やはりわかりません。
したがって、別居していたかどうかが夫婦関係が破綻していたかどうかを判断する一つの目安となっています。
どれだけ不仲であっても、一緒に住んで生活していれば、裁判官は破綻していたとはなかなか認めてくれないということです。
それから、不貞慰謝料の裁判において、もう一つ、大きな争点となるのが、
不貞行為があったか無かったかという争いです。
不貞行為とは、浮気とは少しニュアンスが違って、性交渉を伴う必要があるので、単に二人でお酒を飲んだとかカラオケをした、というだけでは不貞行為にはなりません。
もっとも、性交渉の証拠をつかむのは簡単なことではありません。
直接の証拠をつかむことはまず無理なので、それを推認させる証拠を探すことになります。
よくあるのがラブホテルに二人で入るところの写真です。
ラブホテルは性交渉を目的として利用する人が大多数であるという社会的事実から、不貞行為を推認させる証拠となります。
ただ、最近は、ラブホテルをお酒を飲んだりカラオケをしたりする目的で利用する若者も増えているようです。
ラブホテルの中で何をしていたのかということも、当事者にしかわからないことです。
当然、裁判官にもわからないことですので、ラブホテルに入ったという事実が認められれば、特段の事情がない限り、性交渉があったと推認されてしまいます。
本当にカラオケをしていただけだったとしても、不貞慰謝料を支払う羽目になりますので、くれぐれもご注意くださいね。
弁護士大池